2012年7月9日月曜日

活動報告(7月・幸福と発展)


初めまして、<幸福と発展>分科会参加者の宇佐美(経済学部4年)です。
ここでは、前回の勉強会についてのまとめを担当させていただきます。拙い文章ですが、どうぞお付き合いください。

【概要】
日時:6月30日(日)
参加者:寺井さん、打越くん、山崎くん、光島さん、宇佐美
内容:<日本の不平等と個人化> <競争(後半参照)>

【前回の勉強会で何やったの?】
 打越くんが、「日本の不平等と個人化」というテーマでプレゼンを行ってくれました。
戦前、戦後、現代という近代化の過程の中で、マクロ、メゾ、ミクロという縦糸の中でどのような変化があったのかという内容でした。
具体的には…
マクロ→産業化の諸相(実質GDP、産業別人口などの変化:経済学チックですね)
 議論:特になし
メゾ→社会階層としてみる(中意識論争、相対的剥奪とか:社会学チックですね)
 議論:人は、自らの幸せを判断する時、何に準拠しているのか?(相対的剥奪によると、人は自らが準拠していない集団とは比べない)
 議論②:「構造化された主観」とは?(ざっくり言うと、意識ってどこから来るんだろう?という話)
ミクロ→思想的なところ
 まとめてみる:~変化の3ステップ~
①戦前は、努力・勤勉・忍耐といって立身出世主義のエートスがあったが、経済成長とともに野心が冷却され、サラリーマンと美徳へと変わっていった。
②戦後はアメリカのような物質的な豊かさが理想とされ、基礎材が普及し、階層の平準化が進む中で、つかの間の「幸福」な社会が実現。「努力」型社会の成立。
③経済成長の鈍化、人口減少、高齢社会を特徴とする現代になると、平等神話が構造的に崩壊した。「実績」型社会、自己責任社会の到来。

面白かった論点
・物質的な豊かさが満たされた(と思われる)現代の社会で、非物質的な幸福の追求などトップダウンで出来るのだろうか?
・政策的なインプリケーションを求める議論は難しい。むしろ、幸福と発展という言葉を切口に、自由、競争、(不)平等、共同体、消費社会など、価値観が出せる議論を展開しては?
そこで…私が競争についてぶっこんだので、後半は競争に関する議論となりました(笑)

【競争について】
競争についてぜひブログに書いてほしいと頼まれたので、自分の価値観も混ぜながらここにまとめます。

・そもそも何のために競争するのか? 競争の先には幸せが待っている?
 振り返ると、私たちはこれまで、様々な競争をしてきた。受験競争、部活での競争、一定数の優をめぐる競争、就活という競争…。では人ななぜ競争をするのだろうか?あなたはなぜ競争をしてきたのだろうか?
 競争賛成派の意見としては、<自己成長>のためというものがある。競争した結果富を得るというよりはむしろ、競争の過程で自己成長を図るというものだ。他にも、負けず嫌いで他者に認められたいから競争をするといった人もいるかもしれない。反対派の意見としては、競争で追われてしまっている、競争に疲れてしまう、競争からドロップアウトした人はどうするのか?というもの。

・ちょっとした考察 ~競争による利益とドロップアウト対策~
 競争による利益は、一般には、競争を通じた切磋琢磨によって社会により多くの価値を生むことである。そのもとで個人は、競争そのものの楽しさや競争に打ち勝った時の報酬(金銭面・非金銭面含めて)があるから競争に参加するのである。それゆえ、競争原理が働くことは「努力すれば報われる」社会に一般的にはつながれると考えられる。
 一方で、競争からドロップアウトした人にどう対処するのかといった問題もある。経済学的には、競争で拡大したパイを再分配すればよいという話になるが、ここでは、競争を最も身近に考えてみよう。

 私は、今の社会で競争から逃げることは難しいと思う。受験競争・出世競争といったよく注目されるものでなくても、会議でよりいいアイディアを出そうとか、他の人より早くバイト先のマニュアルを理解しようとか、他の人よりいいレポートを書こうだとか、Aくんより早くビールを飲もうとか、目立たないところで人は、日々、小さな競争をしてそれを楽しんでいるのではないだろうか。また時には、一日腕立て・腹筋・背筋100回といって自己の目標との競争をしているかもしれない。
 たとえ大きな競争にドロップアウトとしても、次の世界では違った競争の仕方になるし、プレイヤーも異なるだろう。以前の仕事での競争は嫌いだったけど、次の場所での競争なら楽しめると言った人もいるかもしれない。そう考えていくと、ドロップアウト対策で必要になってくるのは、再チャレンジできるかどうかだという気もする。つまり正当な再チャレンジの競争環境が整備されているかどうかが重要なのではないか。(「正当」の定義は難しいのですが)

 とまあ、これ以上述べると終止がつかなくなるので、後は皆さんの思索にお任せします。競争の話は、価値観が前面に出るし、定義によって意味合いが変わってしまうという点でとても面白いと思います。

 最後に競争に関する書籍を二つほどご紹介しておきます。二つとも読みやすい新書かつ、書き手も有名な経済学者なのでお薦めです。
「競争と公平感 -市場経済の本当のメリット-」(大竹文雄)
「競争の作法 -いかに働き、投資するか-」(齊藤誠)

以上、長くなりましたが、前回勉強会のご報告でした。

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