2012年5月22日火曜日

活動報告〜<移民>分科会〜


活動報告〜<移民>分科会〜


今回は分科会の活動状況をご報告します。第一弾は移民分科会です!
「フレームワーク」「使用する資料」「フィールドワーク」の3本柱となっています。

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フレームワーク

「移民」という課題は、これからの私たちが取り組まなければならない課題だということは広く認識されてきていると思います。京論壇2012移民分科会では、現段階で ①「送り出し国」としての歴史をもつ中国、「受け入れ国」となっていくかもしれない日本という独自の立場をもつ両国の視点から、国内移動と国際移動について具体例をとりいれて議論すること、② 頭脳流出など、トップ層の人口移動動向という自分たちにより身近な話題についても積極的にとりあげていくこと を決めています。けれども、移民について考えるには本当に多様なアプローチが可能なので(例えば、同化主義か多文化主義かといった移民の受け入れ方、労働力としての移民の誘致の是非、移民が与えられるべき権利 等々)、参加者の興味も取り入れつつ、さらにサブトピックを詰めていきたいと思っています。



勉強会で使用する資料

本、論文、学術雑誌など様々にあがっています。論拠に困ることはなさそうですね。
その内のいくつかを紹介すると、書籍では「民族という虚構」「移住・移民の世界地図」、論文では「FOREIGN AFFAIRS JAPAN−移民が生み出す世界の新力学」「Citizenship, Immigration, and the European social project: rights and obligations of individuality」などがあがっています。また、現在移民分科会のメンバー2人が、文学部で開講されている”People Crossing Borders: Qualitative Research on International Migration” という英語によるゼミに参加しているので、その授業も活用しています。



フィールドワーク


京論壇は「価値観の議論」というのが大きな特徴の一つですが、そのためには現状起きている問題を当事者として捉えることが欠かせないと思います。
けれども、「移民分科会」である私たちの中に移民を経験した人はいません。そこで、実際に外国にルーツがあるとはどういうことなのか、そのことでどの様な問題に直面しているのか、ということを自分たちの目で見るために、まず西日暮里にある「多文化共生センター」という施設に足を運んでみました。
こちらは、主に外国にルーツをもつ子供たちのための教育事業を行っているNPO法人の施設です。

実際に行ってみると、かつての小学校を利用した作りとなっていて、まさに学び舎といった様子でした。初めにセンターの概要や在日外国人に関する政策や統計資料、実際に彼らをとりまく環境(特に教育面など)について、自らが中国出身でいらっしゃるスタッフの方からお話を伺いました。

続いて、実際にボランティアとして学習指導をする機会にも恵まれました。中国出身の中学生の子に日本語と英語を教えたのですが、言語の壁を改めて感じました。理解できているかどうか確認しても、そう問う日本語が理解できていないこともあり、本当に難しかったです。中国語を用いて何とかコミュニケーションがとれると言った状況で、やはり外国から来た子供たちには、「母語による現地の言語教育」というサポートが必要なのではないかと思いました。「言語は使っている内に覚えるもの」と言いますが、もし自分が上手に喋れないことを気にしてその言葉でコミュニケーションをとることをためらってしまったら、そのような子供達はどうやって現地の言葉を習得するのでしょう。そしてそのような子供たちは珍しくないのではないでしょうか。現地の言語の理解が、その社会で生きていく−つまり種々の行政的な手続きや普段の買い物、仕事などに至るまで、全ての生活の場面で一番の土台となることを考えるにつけても、「橋渡し」を担う人の必要性を痛感しましたし、同時に、現状のケアの不十分さも感じました。

一口に「外国から来た子供たちの抱える問題」と言っても、教科書的な認識しかなかったことが、今回直接足を運んだことで「実感」できたことは、良い経験となりました。本番セッションの準備を進めていくにあたり、これからも「実際の現場を訪れること」を重視しながら問題意識を共有して、地に足の着いた議論ができればと思います。

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